今年も『素問』で語られる五運六氣を元に2026年を予想していきたいと思います。まずは昨年はどうだったのか、振り返っていきたいと思います。
目次
1.2025年を振り返る
詳しくはこちらのブログをご覧ください。五運六氣の仕組みを大ざっぱにですが書いております。運氣論はややこしいので、ざっくり分かればで大丈夫と思います。
2025年は金運不及、厥陰司天の歳でした。『素問』における金運不及(金の氣が弱くなり、相克である木・火が強くなる)の記載は以下の通り。(『素問』氣交変大論篇第六十九)
歲金不及なれば、炎火廼ち行わる。生氣、廼ち用ゆ。長氣、專ら勝つ。庶物以って茂り、燥爍以って行わる。上、熒惑星に應ず。民の病、肩背瞀重し、鼽嚏し、血便注下し、收氣、廼ち後る。上、太白星に應ず。其の穀、堅芒。復たすれば則ち寒雨暴に至り、廼ち冰雹を零し、霜雪、物を殺す。陰厥、且つ陽に格りて、反って上行して、頭の腦戶痛み、延びて囟頂に及び、發熱す。上、辰星に應ず。丹穀、成らず。民の病、口瘡あり。甚だしければ則ち心痛す。
さらに、厥陰司天の歳についても以下の通り。(六元正紀大論篇七十一に記載)
凡そ此の厥陰司天の政、氣化の運行、天に後る。諸同正歲は、氣化の運行、天に同じ。天氣擾れ、地氣正しく、風、高遠に生じ、炎熱、之れに従う。雲、雨府に趨り、濕化廼ち行わる。風火、德を同じくして、上、歲星熒惑に應ず。(中略)風燥火熱、勝復更も作り、蟄蟲來たり見われ、流水冰らず。熱病、下に行われ、風病、上に行わる。(以下略)
金運不及により、相対的に木・火運が強い歳でした。さらに厥陰司天少陽在泉ということで、歳の上半期は厥陰(風木)、下半期は少陽(相火)が支配していました。こうしてみると、木氣と火氣が強い歳だったように思われます。氣象1では、風が高くまで吹き熱が上昇し、暑い年でした。『素問』ではそれにより雲が生じて暴風雨となるとありますが、夏場の降水量は少なく野菜の収穫量は落ち、大変な1年でした。当たらずとも遠からず?でしょうか。
個人的には昨年は風邪を引き、歯茎が腫れ、眠れなかったりと風熱の影響をもろに受けている状態でした( ; ; )
2.2026年の五運六氣
さて、2026年はどういう歳でしょうか。十干十二支は丙・午(ひのえ・うま)です。丙は水運太過、午は少陰司天・陽明在泉の歳となります。
1)水運太過の歳


歲水太過なれば、寒氣流行し、邪、心火を害す。民の病、身熱し、煩心躁悸し、陰厥し、上下中寒、譫妄心痛す。寒氣早く至り、上、辰星に應ず。甚だしければ則ち腹大に脛腫れ、喘咳し、寢汗出でて、風を憎む。大雨至り、埃霧朦鬱として、上、鎮星に應ず。上、太陽に臨めば、雨冰雪霜、時あらずして降り、濕氣、物を變ず。病、反って腹滿ち腸鳴る。溏泄して食化せず。渴きて妄冒す。神門絕する者は死して治せず。上、熒惑辰星に應ず。
『素問』巻第二十・氣交變大論篇第六十九
2026年は五運における「水運太過」。『素問』には以上のように記載があります。五行の相克関係で考えると、水運が太過することで、火と土が弱まる歳と考えられます。

水運太過の歳は、寒さが強く、またその寒さが通常より早く長く居座る歳となります。五行の相克関係で考えると、水が相対的に強まり、火や土が弱くなる状態となります。自然現象では、大雨が降って霧が立ち込め、湿気が発生しやすくなります。これが当たるとなると去年までの水不足が解消しそうではありますが、どうなるでしょうか。体の状態では、体が熱っぽく、心がもやもやし、動悸、全身が冷え、意識が混濁し心が痛む症状が出るとしています。または脾の症状として、足のむくみ、腹満などが考えられます。
2)少陰司天・陽明在泉の歳
では次に六氣をみていきましょう。2026年は少陰司天・陽明在泉の歳になります。以下の図では、真ん中に「子午」と書かれた一番下にある図をご覧ください。そして『素問』ではこう書かれています。

凡そ此の少陰司天の政、氣化の運行、天に先だつ。地氣肅しく、天氣明なり。寒、暑に交わり、熱、燥に加わる。雲、雨府に馳せ、濕化乃ち行なわれ、時雨乃ち降る。金火、德を合わせて、上、熒惑太白に應ず。其の政は明、其の令は切、其の穀は丹白。水火寒熱、氣交に持し、而して病の始と為る。熱病、上に生じ、清病下に生ず。寒熱凌犯して中に爭う。民の病、咳喘、血溢、血泄し、鼽嚏し、目赤く眥瘍あり。寒厥、胃に入り、心痛み、腰痛み、腹大、嗌乾き上に腫る。
『素問』巻第二十一・六元正紀大論篇第七十一
「氣化の運行が天に先立つ」ということで、こちらでも暦より早めに変化する歳であると書かれています。また、司天(夏)が少陰(火)、在泉(冬)が陽明(金)ということで、夏に熱病、冬に寒病が生じやすいとしています。民の病として、咳、血が溢れる病(下血、鼻血、目が赤くなる)、腰痛、腹が張る…などが挙げられます。
以下は、1年を6つに分け、それぞれの期間がどのような状態になるのかについても記載がありますので、参考までに載せておきます。ちなみに、6つに分けた氣(六氣)は初の氣、二の氣、三の氣(司天)、四の氣、五の氣、終の氣(在泉)と名前が付けられています。それぞれがだいたい60日ほどで、毎年大寒から始まります。
初の氣は、地氣遷り、燥將に去らんとす。寒乃ち始まり、蟄、復た藏れ、水乃ち冰り、霜復た降り、風乃ち至る。陽氣鬱し、民反って周密す。關節禁固し、腰脽痛む。炎暑將に起らんとし、中外瘡瘍あり。
1月下旬〜3月下旬頃はとにかく寒く、冬眠から目が覚めた虫が再度冬眠し、水が凍り、霜が降るほどであるそうです。
二の氣は、陽氣布き、風乃ち行われ、春氣以て正しく、萬物應榮す。寒氣時に至り、民乃ち和す。其の病は淋、目瞑く目赤く氣、上に鬱して熱す。
3月下旬〜5月下旬の春の時期は、ときどき寒い時はあるけれども、春は例年通りになりそうです。
三の氣は、天の政布き、大火行われ、庶類番鮮し、寒氣時に至る。民の病、氣厥心痛し、寒熱更も作こり、咳喘して目赤し。
5月下旬〜7月下旬は大火と書かれているように、暑くなりそうですね。
四の氣は、溽暑至り、大雨時に行われ、寒熱互いに至る。民の病、寒熱、嗌乾き、黃癉、鼽衄、飲發す。
7月下旬〜9月下旬は溽暑(じょくしょ):高温多湿で不快な暑さとなりそうです。
五の氣は、畏火臨み、暑反って至る。陽乃ち化し、萬物乃ち生じ乃ち長榮す。民乃ち康し。其の病は温。
9月下旬〜11月下旬は少し暑さが残った秋になりそうです。そのため万物がよく成長するようです。
終の氣は、燥令行われ、餘火、内に格み、上に腫れ、咳喘す。甚だしければ則ち血溢す。寒氣しばしば舉がれば、則ち霿霧翳らし、病、皮腠に生じ、内、脇に舎り、下、少腹に連なり、而して寒中を作す。地、將に易わらんとす。(以下略)
11月下旬〜2027年1月下旬は寒さが強くなると霧がよく発生するようです。
3.まとめ:構造的にみる
本日大寒ということで、なんとか間に合いました!いろいろと難しい内容ですが、何かの参考になると幸いです。2025年の時も書いておりますが、記載内容が当たった外れたが大事ではなく、陰陽五行の理論で構造的にみるということが重要です。
がちがちの理論で面白くないという方もいらっしゃるとは思いますが、気象や体の状態に一定の方程式・尺度を持っているということで、行き当たりばったりではない予測が可能となります。天文学者が計算を元にして新しい星を見つけるように、鍼灸師は陰陽五行を使って、患者さん自身も知らない体の状態が知れるようになるのです。
- 「2025年(令和7年)の天候のまとめ(速報)」(気象庁)https://www.jma.go.jp/jma/press/2512/24b/20251224_2025tenkou.html ↩︎
