27*「陰陽は萬物の能始なり」-『素問』陰陽應象大論篇第五。
この「能始」というのが難しい単語です。丹波元簡著の『素問識』によれば、『易経』がヒントになるということです。以下引用。
易経 繋辞上伝
- 【本文】乾知大始。坤作成物。乾以易知。坤以簡能。
- 【訓読】乾は大始を知(つかさ)どり、坤は成物を作(な)す。乾は易(い)をもって知(つかさ)どり、坤は簡をもって能(よ)くす。
- 【意味】乾(陽)が無限で無形の根源的なエネルギー(元氣)を、坤(陰)に向かって発することによって萬物の大いなる創造活動が始まり、坤(陰)が乾(陽)から発生された無限で無形の根源的なエネルギー(元氣)を、何の疑(うたが)いもなく受容することによって、無形のエネルギー(元氣)から有形の萬物が生み出される。乾(陽)の働きや作用は平易であるから、萬物を司ることができる。坤(陰)の働きや作用は簡略であるから、萬物を品物(各々が固有の性質や使命を持った生命体)として生み出すことができる。
『易経』八卦では「乾」は天=陽、「坤」は地=陰を表しています。まさにこの文章は陰陽のことであり、つまり「能始」とは「無形である氣が有形である物質を産み出す」ことだといえるのではないでしょうか。
参考にさせていただいたページ
『素問識』. 巻1-8 / 丹波元簡 著